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占いえらび

易を深く知る|歴史・成り立ちと、プロが使う読み方

易は、3,000年ほど前の中国で生まれた占いです。その64の卦の並びは、300年前にヨーロッパの数学者を驚かせ、コンピューターの「0と1」と同じ形だと論じられました。古代の占いの手引きが、どうやって東西の学者や実業家を引きつけてきたのかをたどります。

読みもの易仕事・転職これからのこと

この記事の3行まとめ

  1. 易のもとになった『周易』は、紀元前1000〜750年ごろの、周の時代の占いの手引きです
  2. 1703年、数学者のライプニッツは、易の卦の並びが0と1の2進法と同じ形だと論じました
  3. 明治の実業家高島嘉右衛門の逸話で知られる『高島易断』。いまその名を使う団体は、本人とは関係がありません

この記事で分かること

易の記事では、卦のしくみや道具を紹介しました。この記事は、易の歴史と、プロの読み方に進みます。

確かめられた記録は言い切り、言い伝えは「とされる」「と語られる」で書き分けています。使った資料は、いちばん最後にまとめました。

はじまりは、周の時代の占いの手引き

易のもとになった本は『周易』(しゅうえき=周の時代の易)と呼ばれます。中国の西周の時代(紀元前1000〜750年ごろ)に、占いの手引きとして生まれたと考えられています。

いま『易経』として読まれている本は、この占いの本文に、あとの時代の注釈「十翼」(じゅうよく=10編の解説)が加わったものです。本文と注釈では、使われている言葉の古さが違い、別々の時代に書かれたことが分かっています。

昔から、易は伝説の王伏羲(ふっき)や、周の文王、そして孔子が作ったと伝えられてきました。ただ、いまの研究では、この言い伝えは認められていません。

孔子は易を愛読した?──韋編三絶

「本を何度もくり返し読む」ことを韋編三絶(いへんさんぜつ)と言います。この言葉は、歴史書『史記』の孔子の伝記にある話から来ています。

孔子は年をとってから易を好み、何度も読み返したので、竹の札を綴じていたなめし革のひもが3度も切れた、というものです。当時の本は、細長い竹の札をひもで綴じて作られていました。

ただ、いまの研究では、孔子と易の結びつきは記録の読み違いから生まれた可能性が高いとも考えられています。韋編三絶は、「史記にこう書かれている有名な話」として楽しむのがちょうどいい距離です。

ライプニッツと、0と1の2進法

1700年ごろ、ドイツの数学者ゴットフリート・ライプニッツは、中国にいたイエズス会の宣教師と手紙をやりとりしていました。その一人、ジョアシャン・ブーヴェから、易の64の卦を並べた図が届きます。

ライプニッツは、すべての数を0と1だけで表す2進法を研究していました。卦の図を見た彼は、陰の線(切れた線)を0、陽の線(つながった線)を1と読めば、図がそのまま2進法の数の並びになることに注目します。

そして1703年、易について論じた文章を発表しました。これがヨーロッパで書かれた、最初の易の論評とされています。

いまのコンピューターは、すべてを0と1で計算しています。3,000年前の占いの形と、現代の計算のしくみが同じ形をしている。易が東西の学者を引きつけてきた理由のひとつです。

ユングが見た、偶然の一致

20世紀には、ドイツの宣教師リヒャルト・ヴィルヘルムが易をドイツ語に訳し、ヨーロッパで広く読まれるようになりました。

この翻訳に序文を寄せたのが、心理学者のカール・グスタフ・ユングです。ユングは、意味のある偶然の一致をシンクロニシティ(=共時性。原因と結果ではつながらないのに、意味が重なって起きる出来事)と呼び、易の占いをその考え方と結びつけて論じました。

「たまたま出た卦が、いまの自分の状況と重なって見える」。易を使う人が感じるその感覚に、心理学の側から光を当てた人といえます。

明治の易者、高島嘉右衛門

日本で易の名前を広めた人に、高島嘉右衛門(たかしま・かえもん、1832〜1914年)がいます。本業は横浜の実業家で、横浜港の埋め立てを進めて「横浜の父」と呼ばれ、1872年には日本で最初のガス会社を作りました。

そのかたわら易を深く学び、1886年に『高島易断』を出版しています。

よく知られているのが、政治家の伊藤博文を占った逸話です。出た卦は「艮為山」(ごんいざん)。「艮」が2つ重なる卦で、それが暗殺者「安重根」の名前を指していた、と語られています。嘉右衛門はそれ以来、ほかの人を占わなかったとされます。

暦の本などで「高島易断」という名前をよく見かけます。百科事典によれば、いまその名前を使っている団体は、嘉右衛門本人とは関係がありません。名前だけで判断せず、中身で選ぶのが安心です。

プロの道具① 64の卦には、2つの並び方がある

64の卦の並べ方は、大きく2つあります。

並べ方どんな順番か使われるところ
本の順番「乾」「坤」から始まり、意味のつながりで並ぶ『易経』の本文。占いで卦を引くときの番号
数の順番陰と陽の組み合わせを、規則どおりに並べるライプニッツが受け取った図。0と1の2進法と同じ並び

先生が「〇番の卦」と言うときは、ふつう本の順番の番号です。同じ卦でも、並べ方が違えば番号が変わるので、番号より卦の名前で覚えておくと混乱しません。

プロの道具② 卦の名前は「上と下」で読む

6本の線でできた卦は、3本ずつ上下に分かれた2つの八卦の組み合わせです。八卦には「天・沢・火・雷・風・水・山・地」という自然のものが当てられていて、卦の名前にもそれが表れます。

卦の名前から上と下の組み合わせが分かると、先生の説明がぐっと追いやすくなります。

「いま出た卦は、上と下がそれぞれ何の八卦ですか。動く線はどこでしたか」

先生に、易のことを聞いてみる

易の先生に最初に聞いておくと話が早いのは、この3つです。

「今日は何で卦を出しますか。出た卦の名前と、この先の卦もあわせて教えてください」

易は問いを一文にしておくほど答えがはっきりします。電話の前に相談メモで問いをまとめておくと安心です。

参考にした資料

このサイトで試せます

易のしくみを、もう一度

陰と陽の線、八卦、卦を出す道具、本卦と之卦をまとめています。

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